スマホ映像×Gemini(AI)で野球のスイング解析はどこまでできるか〈前編〉

専用デバイスを使わず、スマホの映像とAI(Gemini)だけで野球のスイングをどこまで分析できるか。アマチュア現場の「データ計測のハードルを下げる」ことを目指した検証の前編です。
【定量】60fpsのスマホ映像で数値は取れるか
専用センサーの計測値を正解データとし、スマホ映像のAI解析がどこまで近似するかを検証。撮影距離やカメラ高さ、60fpsといった条件を固定しました。結論は「カメラ位置は高いほう(150cm)が良い」。低い位置だと体とバットが重なって解析不能になる瞬間があるためです。高さを確保すれば、スイングスピード・バット角度・ハンドスピードといった主要指標で、センサーと遜色ない「傾向値」が取得できました。究極の精度は専用機に劣るものの、日々の「成長のトラッキング(昨日より速くなったか)」には十分実用的です。
【定性】AIは「微細な違い」に気づけるか
投球はボールの回転が速く、スマホカメラで縫い目を追うのは物理的に不可能なため、数値計測ではなく「良い時 vs 悪い時」のフォーム比較という定性アプローチを採用。すると、元プロ選手でも「速すぎて言語化しきれない」レベルの微細なフォームのズレをAIが検知しました。さらに、何も情報を与えていないのに映像から球種まで推論するなど、一歩踏み込んだ解析も。
「なぜフォームが異なるのか(疲労か意識か)」を判断するのは人間ですが、AIは「ここがいつもと違いますよ」という差分検出において非常に強力なアシスタントになります。AIが出した差分を起点に、コーチと選手が「なぜこうなった?」と対話する ── AIは答えを出すだけでなく、コミュニケーションのきっかけを提供するツールとしても機能します。(後編では、部活動の地域移行や怪我の予兆検知への応用を深掘りします)
この記事は note「スポーツAIラボ」掲載記事をもとに再構成したものです。元記事(note)を見る →