プロフィール
2001年京都大学大学院工学研究科精密工学修了後、フューチャーシステムコンサルティング株式会社(現フューチャー株式会社)入社。研究開発部門での技術開発や大手コンビニエンスストアの端末刷新プロジェクトの技術責任者等を経て、プロ野球団のチーム戦略システムをゼロから構築。複数の球団や他のスポーツへ展開し、プロスポーツのIT武装に貢献。2017年4月より現職。AI、IoT、データ分析、映像解析等の最新ITを駆使し、スポーツビジネスの可能性を追求している。

子どもたちがあこがれるヒーローやなりたい職業は、私が小さかった頃もいまもプロスポーツ選手が1位です。テレビで好きな選手が活躍したりチームが勝ったりした日は本当にうれしかったし、ああなりたいと思って一生懸命練習しました。子どもに限らず大人も、日本人選手が大リーグや海外の強豪サッカーチームでプレーしたり、国際大会で優勝したりするのを見ると勇気がもらえますよね。スポーツには人の感情を揺さぶる大きな力があります。

いま私たちが取り組んでいるのは、プロ野球チームに勝利をもたらし、球団経営にも貢献する仕組みを ITで実現することです。これまで支援した球団はリーグ優勝や日本一を果たし、経営上も黒字を達成するなど確かな成果を残しています。結果がすべてのプロスポーツの世界で実績を挙げられていることはなによりの自信になっていますし、野球少年だったので、いま自分が大好きなチームに関われていることはこのうえない喜びです。

近年のITの進化は、スポーツ界にも大きな変革をもたらしています。ピッチャーであれば球の回転数やリリースポイント、バッターであれば打球の速度や角度など、成績以外の視点で選手の能力を可視化できるようになりました。私たちがつくりあげたチーム戦略システムでは、そうした試合で生み出される膨大なデータが試合後に自動でクラウド上のサーバーにアップロードされ、スマートフォンでデータをチェックできます。試合データのほかにも、トレーニングや体のメンテナンス、選手評価、スカウト情報等、あらゆる情報を一元的に管理・分析が可能です。選手は技術の向上に、コーチや監督は指導や戦術検討に、スカウトは有望な選手の発掘に、フロントはチーム運営や戦略に、とチーム運営に関わっている様々な方にご利用いただき、チームの勝利に貢献しています。このシステムは複数のプロ野球球団に導入いただき、当社として6年間で合計5度の日本一達成という実績を挙げています。

新たに、球団事業の軸をなすファンクラブ(FC)の運営やグッズ販売を担う、会員管理とECのしくみも構築しました。球場に訪れた観客やFC会員、購入者の行動がもたらすデータを集約・分析し、一人ひとりの志向性やニーズを把握してプロモーションや新たな商品開発に活かしていきます。ライブリッツは以前ソーシャルゲームを制作・運営していましたので、ユーザーに常にサービスを利用してもらうにはどうしたらいいのかというノウハウがあります。ECビジネスは価格競争に陥りがちですが、そうではなく、提案型、紹介型のコンテンツと、毎日サイトを訪れてくれるようなしかけがあることが大きな特長です。

ITを活用してどうやってプロ野球を盛り上げていくかに取り組むなかで強く実感するのは、ITはもっとスポーツをおもしろくできるし、ビジネスとしての可能性を広げられるということです。サービスそのものは優れていても人を集めることに苦労し収益に結びつけられていないビジネスはたくさんあります。しかし、例えばプロ野球は、シーズン中ほぼ毎日試合をしているにもかかわらず、1日で何万人という観客を球場に集めています。野球に限らず、サッカー、テニス、ゴルフ、相撲…と、あらゆるスポーツは、試合はもちろんプレーヤー一人ひとりにドラマがあり、人を惹きつける魅力があります。スポーツビジネスは無限のポテンシャルを秘めているのです。

ライブリッツのミッションは、AI・IoTなどの最先端技術を駆使し、スポーツビジネスの価値を最大化することです。ライブリッツが支援をすることで、プレーヤーが活躍し、ファンが喜び、運営母体の収益が上がり、さらに競技が盛り上がるといういいサイクルをつくりたいと考えています。

そのために、社員には、ぜひ自ら価値を創造することを意識してほしいと伝えています。私自身も、先端のITやスポーツビジネスはもちろん、ほかの業界や様々なビジネス・エンターテイメントなどのトピックに対して幅広く興味を持って知見を深め、コンサルタントとして研鑽し、お客様にとって頼もしい存在になっていきたいと考えています。

お客様の真のビジネスパートナーとして、ときにはお客様以上に真剣に考え、提案し、ともに壁を乗り越えて実現することで、スポーツビジネスの未来を創造していきたいと思います。